ナイフレスト：トンボ

1919年にルネ・ラリックがデザインしたナイフレスト。

モチーフである「トンボ」が陰刻でデザインされており、セピア色のパチネによる彩色は細密なデザインの輪郭を浮かび上がらせ、作品の魅力をよりいっそう高めている。

日本における「トンボ」のイメージは、田畑の害虫を捕食する益虫であり、また前にしか進まないその特性から「勝ち虫」として古来より非常に良い物であるが、西洋においては「Dragonfly」と呼ばれ、ドラゴン＝不吉なものとしてあまり良いイメージではなかったようである。しかしアール・ヌーヴォー期に入り、ジャポニズムの影響も相まって、「トンボ」を題材にした作品が多く制作された。

本作は時代区分から言うと「アール・デコ」期の作品に分類されるが、過分にヌーヴォー色を持った作品と言える。

カタログレゾネ P-787 No.3602