香水瓶：ケシ

ルネ・ラリックが1910年にデザインした香水瓶。

本作は、胴部は少ししおれた様な花弁、栓部は花芯と「ケシの花」を上から見た様子を表現している。ケシの花は、その可憐な様子が妻のアリスを連想させるものとして、ラリックが宝飾作家時代から好んで用いたモチーフである。

また本作は栓部、胴部、底部の3パーツをそれぞれを別にプレス成型し、底部は胴部に熱熔着するという特殊な工程を経て制作されている。この非常に高度な技術を要する工程で制作された作品は他に、「ルナリア」や「オ・クル・デ・カリス」、「３組のペアダンサー」などがあるが、どれも当時から制作数は少なく、したがって残存数も少ない。

カタログレゾネ P - 325  No.476